唾石症の症状・原因・治療と手術、予防!放置するとどうなる?<写真・画像>
「唾石症」をご存知でしょうか?
あまり聞き慣れないこの病気について
- 唾石症とは?症状は?
- 原因と、放置した場合はどうなるのか?
- 診断と治療、手術の内容!
について、なるべく分かりやすくまとめてみました。
なお、なるべく正確に情報提供できるよう努めておりますが、確実性は保障しかねるため、本記事はあくまでも参考としてご覧ください。
気になる症状が出ている場合は、早めに病院を受診しましょう!
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唾石症とは?症状は?
唾石症(だせきしょう)とは、唾液腺や導管(唾液を分泌する管状の組織)の中に石が出来る病気です。
唾液線は頸部(首)リンパ節から下顎に沿うように配置している器官ですが、ほとんどの症例では顎下腺(がっかせん)に石が生じます。
画像引用:http://www.implant-kaneko.jp/mouth/mouth10.html
画像引用:http://blog.matsunaga-clinic.or.jp/tag/%91%C1%90%CE%8F%C7
石の大きさは「砂つぶ大」から「数センチ」に及ぶものまであり、強い炎症を起こして腫れや痛みを起こします。
小さな石の場合は自然と排石される場合もありますが、大きくなると手術が適用されます。
ただし、痛みの強さは石の大きさに比例するわけではなく、唾石が排出管(導管の出口付近で舌の付け根あたり)を完全に塞いでしまうと、特に強い痛みになります。
日常的には食事などで顎を頻繁に動かすと違和感・痛みを感じますが、安静にしていると症状は落ち着きます。
なお、体内に出来る石(胆石や尿管結石など)にはいくつかの種類がありますが、唾石症で出来る石は「カルシウムが固まったもの(カルシウム結石)」であるということがわかっています。
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唾石症の原因は?放置するとどうなるの?
唾石症の細かい原因までは明らかになっていません。
しかし、「何らかの原因で唾液中のカルシウムが固まる事で、排出管を詰まらせるのではないか」と考えられています。
カルシウムが固まる現象としては「石灰化」が考えられます。
歯のエナメル質は食事の酸などで少し溶けてしまっても、その後「再石灰化」することで健康な状態を維持しています。
唾液にはカルシウムを石灰化させる成分が含まれているので、こうして歯の健康状態を保つことが出来るのですが、「この成分が通常よりも多いと唾石症が起こりやすくなるのではないか」と考えられています。
また、唾石症でできた石を採取して細かく調べてみると、カルシウムの層が年輪のように重なっていくのが確認できます。
この事から、最初は小さな石だったものが排出管に付着して、血液中のカルシウムが次々とその石に付着し、どんどん石が成長していく事がうかがえます。
したがって小さな石は健康な人でも存在し、通常の場合はそれが自然排石されているのではないか、と考えられています。
唾石が作られやすい場所
唾液は「唾液腺」で作られますが、唾液腺はさらに「腺房(せんぼう)」と呼ばれる無数の組織に分かれています。
この腺房内に分泌された液体が次第に集まり「唾液」となるのですが、集められた唾液の出口に通じるのが「排出管」と呼ばれる組織です。
唾石はこの排出管の中にできやすく、唾石症全体の90%以上が排出管の中でカルシウム結石となることがわかっています。
そして排出管が完全に詰まってしまうと、唾液の分泌が止まってしまいます。
こうなると、激痛で食事ができなくなるほどの痛みが出ると言われています。
さらに、唾液線が詰まる事で病原菌が進入し、「感染性(急性)唾液腺炎」を起こす可能性もあります。
放置したらどうなるの?
加えて唾石症を放置していると、結石部が腫れて赤くなり、そこから膿や出血が起こるようになります。
膿がたまると口臭の原因にもなるため、放置せずに口腔外科か耳鼻咽喉科でしっかりと治療するようにしましょう。
続いては
「唾石症の治療」についてです。
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唾石症の治療とは?
唾石症の治療については、口腔外科もしくは耳鼻咽喉科になります。
一番適しているのは口腔外科でしょう。
歯科医では治療に対応できない場合もありますので注意してください。
耳鼻科でも診察可能というのは、腫れがある場合は耳下腺にも腫れがおよぶ事があることと、耳鼻科が外科に分類されるからです。
急性で腫れや石が大きい場合は「外科手術の適用」となるため、口腔外科もしくは耳鼻咽喉科が適当となります。
診断は?
耳下腺部が腫れると「おたふく風邪」のようになります。
したがって「おたふく風邪」との識別診断が重要となりますが、上記の写真のように石が歯茎越しに見えることが多いので、ほとんどの場合は目視で確認可能です。
石の状態を把握するためにレントゲンやエコーを行うこともありますが、最も有効的な診断方法はCTなので最初から頭部CTを行うケースが多くなります。
腫れがひどい場合は手術適用が前提となり、全身状態を把握するために血液検査と尿検査も同時に行われます。
なお、石のサイズや出来る場所によって治療内容が変わります。
石が1〜2mm程度の場合
感染を起こしている場合には抗生剤が投与されます。(飲み薬)
また、痛みが強くない場合はマッサージを行って石を押し出すような治療が行われます。
その場で出ない場合は帰宅後もマッサージするように指導されます。
ただし、途中で石が引っかかった場合には「口内法」といって口の中を切開して石を取り出す外科処置が行われます。
大人の場合は局所麻酔で行われる手術です。
切開して石を出したら、そこに膿を出すためのチューブが設置されます(ドレーン設置)。
石が2mm以上の場合、もしくは顎排出管から遠い位置にある場合
石がある程度の大きさ(2mm以上の場合)の場合、もしくは小さくても排出管から遠い位置にある場合には重症度が上がります。
この場合は自然排出が望めず、口内法も適用外となります。
顎下腺(下顎沿いにある唾液線)に石がある場合は、顎下腺ごと石を取り除く外科手術が行われます。
あごの下を切開して行う手術で、傷跡は目立ちませんが稀に後遺症として顔面神経麻痺を起こすこともあります。
入院は数日間で、退院してからは10日〜14日間ほどの自宅療養となります。
石が耳下腺内にある場合
石が「耳下腺内部」にある場合は、口腔外科ではなく耳鼻咽喉科での治療になります。
この場合は、唾石症としては最も重症度が高い状態になります。
というのも「耳下腺炎」を起こしている可能性があるからです。
耳下腺炎というのはおたふく風邪などでも見られる症状で
- 高熱
- 吐き気
- 嘔吐
- 頭痛
- 内耳炎
- 中耳炎
などが合併している可能性が非常に高く、感染を起こしていると脳炎や髄膜炎にまで進展する危険性があります。
耳下腺は大きいので腫れも大きくなり、痛みが強いという特徴があります。
手術は慎重を要するので、治療の第一選択肢は
- 抗生剤
- ステロイド治療薬
- 痛み止め
による保存的治療になります。
しかしそれで自然排石しない場合、あるいは排出が望めない場合は、やはり外科手術が適用となります。
この場合の手術は、頸部から切開して耳下腺内部にある唾液線を切開し、そこから石を取り出すという大掛かりなものになります。
予後(手術後の見込み)が良いとは決して言えず、顔面神経麻痺や唾液線の狭窄が高い頻度で後遺症として残る可能性があります。
また、創部が潰瘍化して口を大きく開けるのが苦痛になる場合もあるので、リスクはかなり高い手術であるといえるでしょう。
内視鏡手術について
近年新しく開発されたのが「内視鏡的唾石症手術」です。
これは内視鏡を使った手術なので、傷口がほとんど目立たず、切開も数センチで済むため術後のダメージが少ないというメリットがあります。
その一方で、石の大きさや位置によってはどうしても取れず、結局切開して石を取り出すケースも多く、また実施できる医療機が少ないというデメリットがあります。
いずれにしても内視鏡手術がスタンダードになるには、もう少し時間がかかりそうです。
手術のリスクと再発、予防について
唾石症の手術は
口内法<顎下腺切除<耳下腺切除
という順番で大がかりになりますが、口の中や顎、頸部という非常に日常的によく動かす部位を手術する事になるので、術後傷口が完全にふさがるまでは日常生活に支障をきたす事になります。
石が取り出せても、膿を継続的に排泄しきるまでは「ドレンチューブ」を留置する必要性があります。
そのため術後感染症のリスクもあり、決して安易な手技であるとは言えないのです。
それゆえに自然排出できるようであれば、痛みはありますが、マッサージで自然排出させるのが一番予後の良い方法ということになるでしょう。
なお、冒頭の方でも述べたように唾石症は原因がよくわかっていません。
そのため、手術をして石を取り出しても再発する可能性は高いと考えられています。
また原因がわかっていないことから、残念ながら予防方法も確立していません。
まとめ!
いかがでしたでしょうか?
上記のとおり、早い段階(石が小さい段階)であればマッサージによって石を押し出せる可能性もあります。
下顎に石らしき物が見える、痛みがあるという場合は、早めに口腔外科や耳鼻科を受診しましょう。
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