ピロリ菌がうつる原因(感染経路)と再発の理由!キスや井戸水に要注意!
このページでは
- ピロリ菌がうつる原因(感染経路)とは?
- 感染しても必ずしも症状が出るわけではない!
- 感染したら「除菌」すれば良いの?
- 除菌後の「ピロリ菌再発」の理由と予防!
- 逆流性食道炎を引き起こす場合もある!
についてわかりやすくまとめています。
なお、病気に関する内容ですので、気になる症状がある場合はとりあえず病院を受診されることをオススメします。
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ピロリ菌がうつる原因(感染経路)とは?
1970年代、30歳以上では7割以上が感染していると報告されていたピロリ菌も、徐々にですが感染者数は減っています。
とは言え、現代にもまだまだピロリ菌に感染している人がいます。
そのため人から人へもうつる「ピロリ菌」について、「うつる原因(感染経路)」を知っておくことは大切です。
ではその感染経路は、どのようなルートを辿るのでしょうか?
実はまだ十分には明確になっていないのですが、以下のような感染ルートがあると考えられています。
@口から口への感染
日本人のピロリ菌感染が最も起こりやすいのは幼児期だと言われています。
この時期は、母乳から離乳食に移行する段階ということもあり、
- 保菌者である親から、子供への口移し
- 食べ物を冷ますために、一旦口に入れた食事を子どもに与える
という理由で感染します。
近年、虫歯菌である「ミュータンス菌」も同様のルートで親から子へと感染することが明らかにされています。
そのため、2000年以降は医療機関でも
- 乳幼児へのキス
- 食事の口移し
を控えるよう、産婦人科や小児科のガイドラインが設定されたことで、感染事例が減りました。
その結果として、ピロリ菌感染拡大の予防にも繋がっていると考えられています。
A便から口への感染
衛生環境がまだ未整備だった頃(戦後から高度成長期にかけて)、排便後の手洗いが不十分だったことで、「保菌者が排便後に触れた食べもの」を食べて感染するケースが多くありました。
1900年代頃まで、30歳以上の発症者が多い原因の一つがこのケースとされていました。
B飲料水からの感染
上下水道が完全整備された現代では、飲料水からの感染はあまりないと考えられています。
しかし、井戸水や地下水をそのまま飲んでいた1960年代頃までは、飲料水からピロリ菌感染が起こるケースが多かったとされています。
なお日本地下水学会は、「地下水からピロリ菌に感染するという情報は、地下水学会としては持ち合わせていません。」と、正式な見解を避けていることから、“地下水や井戸水にいないことはないだろう” と捉えられています。
1990年代から比べると、かなり日本人のピロリ菌感染患者は減少しました。
それというのも、上記の
- 上水道の整備が進んだことによる、飲料水からの感染が減った
- 感染した親が口移しで子供にご飯をあげる習慣が減った
ことが、主な要因として挙げられています。
※便から口への感染は、水洗便所が普及したことによって、かなり以前から減少していると推測されています
遺伝するのか?
ピロリ菌は上記のとおり感染症なので、遺伝的な要因はありません。
幼児が親から感染することが多いのですが、生まれつきの保菌者という症例は報告されていません。
では続いて
「感染しても必ずしも症状が出るわけではない!」について説明しましょう。
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ピロリ菌に感染しても、必ずしも症状が出るわけではない
ピロリ菌に感染すると、「胃もたれ・胃痛」といった一般的な胃症状だけでなく、
- 慢性胃炎(萎縮性胃炎など含む)
- 胃潰瘍
を発症するリスクも高まります。
※詳しい症状については「ピロリ菌感染での症状・病気!口臭や蕁麻疹も…」にて、わかりやすくまとめています
ただしピロリ菌に感染したからといって、必ずしもこうした胃症状が出るわけではありません。
胃腸の中は強力な胃酸が分泌されているため、ピロリ菌が胃の中で増殖して自覚症状を感じるケースはそれほど多くありません。
ところが
- 精神的なストレス
- 生活習慣の乱れ
- 寝不足
- 更年期障害(ホルモンと自律神経が乱れます)
など、「自律神経を乱す要因」によって胃酸の分泌量が不安定になると、ピロリ菌が異常増殖をおこして慢性胃炎を起こします。
そして慢性胃炎から進行して、胃潰瘍や出血性胃炎、びらん性胃炎、胃がんなどを起こす原因となるのです。
なぜ自律神経と関わるの?
ピロリ菌は文字どおり「病原菌」なので、侵入してくると免疫システムが反応して身体から駆除しようとします。
ピロリ菌が活動するのに最も適している環境は、pH6〜7(中性)とされています。
しかし胃酸はpH1〜2(酸性)なので、本来であれば生きていくことができない環境です。
そのため、胃酸をコントロールしている自律神経では、ピロリ菌駆除のために「胃酸を多く分泌させる指示」を出します。
しかし、ピロリ菌は胃酸から体を守るために「アンモニアのバリア」を形成するので、全滅させることができません。
また、アンモニアは胃酸を中和させてしまうため、自律神経ではさらに胃酸を出す指令を出し続けることになります。
こうなると「胃酸過多」の状態になり、胃粘膜が荒れて
- 呑酸
- 胃痛
- 胃粘膜びらん
などの症状をきたすようになります。
つまり、ピロリ菌が体内にいるだけで「駆除するために自律神経が働いてしまう」とイメージすれば良いでしょう。
そこに、ストレスや寝不足など「自律神経をさらに乱す条件」が加わると悪化しやすくなる、という流れです。
ストレスで胃が痛くなるのも自律神経の問題!
「ストレスで胃が痛くなる」という話はよく耳にしますし、実際に経験した人も多いことでしょう。
これはストレスによって自律神経に乱れが生じることで、必要以上の胃酸を分泌させるという「誤った指令」が出されてしまうことが原因です。
そしてピロリ菌に感染している場合は、ストレスによる免疫力の低下で胃粘膜の保護バリアが弱まることに加えて、ピロリ菌の増殖に伴う胃粘膜内のアンモニアの増加(胃酸が中和されてしまう)によって、さらに胃が荒れて慢性胃炎を発症することになります。
では続いて、
「ピロリ菌に感染したらどうすれば良いのか?」についてです。
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ピロリ菌に感染したら、どうすれば良いの?
ピロリ菌に感染し、慢性胃炎などを発症した出た場合は、「除菌」と言われる治療が第一選択肢として挙げられます。
ただし上記で説明のとおり、ピロリ菌に感染しても「症状が発症しない場合」が多いです。
そのため、ピロリ菌に感染したからと言ってすぐに治療が必要になるわけではありません。
もちろん「将来おこる可能性のある病気を予防する」という意味合いはありますが、保険適応になるのは
- 慢性胃炎
- 胃潰瘍(胃十二指腸潰瘍)
- 胃MALTリンパ腫
- 特発性血小板減少性紫斑病
- ピロリ菌由来の早期胃がん
といった病気と診断された場合のみが対象となります。
除菌については以下へ
>>ピロリ菌の除菌(除去)と除菌薬、費用、副作用を分かりやすく!
しかしこの除菌を行っても、再発する可能性があります。
ではなぜ再発するのか?「除菌後の再発」の理由を説明しましょう。
除菌後に再発する理由とは?
人の免疫機能には、優れた「防御機能」が備わっています。
「一度感染した病原菌」をきちんと記憶し、その病原菌が再び侵入してきた時に「抗体」を作り出し、
- 感染を防ぐ
- 再感染しても発症しない程度に抑える
という役割を果たしてくれます。
しかし、世の中には「抗体」のできにくい病原菌というものも存在します。
ピロリ菌はその「抗体ができにくい病原菌の一種」と言っても良いでしょう。
ちなみに「抗体ができにくい病原体」の特徴の一つとして、潜伏期間が長いということが挙げられます。
数年から数十年という長い期間潜伏することで、病原菌が体に馴染んでしまい抗体ができにくくなってしまいます。
C型肝炎ウィルスなどはこのタイプです。
そしてピロリ菌の場合も「感染時期は幼児期が圧倒的に多く、発症するのは大人になってから」というケースがほとんどなので、この「潜伏期間が長い病原菌」のタイプと考えて差し支えありません。
このため「除菌治療」を受けても、抗体ができたかどうかを確認するためには6ヶ月以上間を空けてから再度採血をしてチェックする必要性があるのです。
万が一抗体ができていない場合は、再発を繰り返すリスクが高くなります。
では、ピロリ菌が再発する理由は?
そして、ピロリ菌感染症が再発する最大の理由は
“除菌治療に失敗した場合”
です。
このケースでは「使用した抗生物質に対して耐性を持ったピロリ菌」が誕生してしまい、再発することになります。
除菌治療に失敗する最も大きな原因は
- 自己判断で薬の服用を中止すること
- 飲み忘れ
です。
除菌治療の投与期間は7日間ですので、この期間はカレンダーや日記などを利用して、薬の飲み忘れを防ぎ、最後まできっちりと飲みきるようにしましょう。
また投与される
- PPI(胃酸を抑える薬)
- 抗生物質
が体質と合わない場合は除菌治療を中断せざるをえず、この時も耐性菌が発生しやすい環境になります。
つまり、ピロリ菌感染症の再発を予防する最大の手段は「除菌治療を確実に成功させること」につきます。
除菌治療は
- 1回目を受ければ70%〜80%
- 2回目を受ければ85%〜90%以上
の確率で除菌可能なので、完治させることができる病気ですし、抗体ができれば再発リスクは大きく下がることになります。
>>ピロリ菌除菌の失敗と、「二次除菌・三次除菌」の費用や薬について
なお、除菌中や除菌後しばらくの間は「アルコール・タバコ・コーヒー」は控えるべきとされています。
>>ピロリ菌除菌で「アルコール・タバコ・コーヒー」はNG!摂るべき8つの食事!
ちなみにですが、除菌を行った後にピロリ菌は再発せずとも、「逆流性食道炎」を患ってしまう場合があります。
ピロリ菌の除菌後に、逆流性食道炎?
逆流性食道炎とは、
横になったり食後のゲップ時に過剰に分泌された胃酸が食道側に逆流して、食道に炎症を起こす病気
です。
逆流性食道炎の特徴的な症状としては、
- ゲップの回数が増える
- 横になったり、げっぷをした時に呑酸(すっぱいものがこみ上げてくる)症状が起こる
- 食欲が低下する
- 胸焼けや胃もたれが起こりやすくなる
- 空腹を覚えるが量が食べられなくなる
- 腹部膨満感を覚える
などがあります。
ではなぜ除菌後に、逆流性食道炎を患う場合があるのでしょうか?
除菌後に起こり得る理由
考えられる原因は2つです。
@ピロリ菌がいなくなるため
ピロリ菌が存在し慢性胃炎を患っている場合は、ピロリ菌によって「胃酸が中和されている」状態でもあります。
そのため、(ピロリ菌が除菌されたことにより、)ピロリ菌が出す中和剤としてのアンモニアが減ることが、逆流性食道炎続発への最大の原因ではないかと考えられます。
A薬の副作用により自律神経に影響している
もう一つ考えられることとして、この治療では強力に胃酸を抑える薬が使われます。
したがって服薬中には逆流性食道炎になることはないのですが、胃酸をコントロールしている「自律神経」には大きな負担をかけていることになります。
また、抗生物質には「菌を殺す」という性質上、生物の細胞には大きな負担をかけてしまいます。
そのため、ほとんどの抗生物質の副作用として「消化器症状」が挙げられています。
このように治療中には本来人間がもつ「胃酸をコントロールする」という自律神経の能力に不均衡がおこります。
すると治療後には、今まで抑えられてきた分「多めに胃酸を出せ」という指令を発し続けることで「胃酸過多」が生じ、逆流性食道炎が起こるケースがあるのです。
これらが、除菌後に起こる逆流性食道炎の理由です。
ただし、最近の研究によりピロリ菌除菌治療後に起こる逆流性食道炎は一時的なものであり、発症例もそれほど多くはないとされており、治療のガイドラインでは積極的に除菌治療を行うことが推奨されています。
なお、抗生物質の半減期が過ぎると逆流性食道炎も自然と寛解(治療の必要性がない程度まで回復すること)するのが一般的ですが、症状が続く場合にはPPI(胃酸を抑制する薬)が継続投与される場合もあります。
ただしPPIは非常に強い薬ですので、最大投与期間は8週間が限度とされています。
もし逆流性食道炎の症状が継続する場合には、医師にきちんと相談して適切な治療を受けるようにしましょう。
また、逆流性食道炎の要因としては精神的なストレスや加齢によるものも考えらえます。
その時はPPIの継続投与ではなく「生活習慣改善のための生活指導」や、「通常の制酸剤の投与」が行われることになります。
胃酸は空腹になると量が増える傾向があるので、「空腹を感じたら少量の食べ物を口にする」というのも、逆流性食道炎の予防改善対策としては効果的です。
さいごに!
ピロリ菌に感染すると、間接的に胃がんなどへのリスクにも繋がります。
そのため、ピロリ菌感染が判明しており胃の症状がある場合は「保険適応」になる可能性が高いため、ピロリ菌の除去を積極的に行いましょう。
>>ピロリ菌の除菌(除去)と除菌薬、費用、副作用を分かりやすく!
ただし、ピロリ菌除菌に失敗すると「耐性ピロリ菌」ができてしまい、その後の対応が厄介になる可能性があります。
しっかりと治療方法に従いましょう。
>>ピロリ菌除菌の失敗は厄介!「二次除菌・三次除菌」の費用や薬について
>>ピロリ菌除菌で「アルコール・タバコ・コーヒー」はNG!摂るべき8つの食事!
なお、ピロリ菌によって引き起こされる症状や病気については「ピロリ菌感染での症状・病気!口臭や蕁麻疹も…」で分かりやすくまとめています。
また、ピロリ菌の感染有無は自宅でも簡単に調べることが出来ます。
病院での検査と検査キットの違いなどを「ピロリ菌検査の種類と検査費用!呼気検査・血液検査・検査キットの違いなど」でまとめていますので、こちらもあわせてご確認下さい。
さいごに、ヨーグルト(LG21)はピロリ菌によいとされているため、普段から摂っていると良いでしょう。
>>ピロリ菌の除菌にヨーグルトやヤクルトは本当に効くか?LG21以外も効果ある?
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