ギランバレー症候群の症状・原因・治療!予後(再発や後遺症)は良い?|あの芸能人も患った

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ギランバレー症候群の症状・原因・治療!
予後(再発や後遺症)は良いの?あの芸能人も患った病気!

このページでは

 

  • ギランバレー症候群とは?
  • 症状は?
  • 原因はなに?
  • どんな治療をするの?
  • 予後は良いの?(再発や後遺症について)

 

について分かりやすく説明しています。

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ギランバレー症候群とは?

近年、小説家の中村うさぎさんがギランバレー症候群にかかって休業する、というニュースがあったので、名前だけは聞いたことがあるという人も多いのではないでしょうか?

 

実は芸能界や有名人では、中村さん以外にも

 

  • 大原麗子(女優)
  • 安岡力也(タレント)
  • 鴨下信一 (演出家)
  • 鈴木磨 (ミュージシャン)
  • フラクリン・ルーズベルト(元アメリカ大統領)

 

などが患った事があるとのことです。

 

この「ギランバレー症候群」を一言で言えば

 

“突然手足に力が入らなくなる病気”

 

です。(これがこの病気の主な症状になります)

 

くわしくは後ほど説明しますが、多くの場合、ギランバレー症候群を発症する1〜2週間前に風邪のような感染性の症状(微熱、扁桃腺の腫れ、下痢、関節痛など)を起こすという傾向があります。

 

その後、運動器官や感覚器官に症状があらわれます。(この病気は「末梢神経」が冒される病気です)

 

病気を起こすメカニズムは完全には解明されていませんが、早期に発見して適切な治療を受けることができれば、かなりの確率で寛解(治療が必要ない程度、もしくは経過観察のみにまで回復すること)が可能と言われています。

 

ではここから、
「ギランバレー症候群の症状」をもう少し詳しく説明していきましょう。

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ギランバレー症候群の症状とは?

ギランバレー症候群には、代表的な9つの症状があります。

 

なお、症状の出方には個人差があり発症してから4週間目までに症状がピークに達するケースが多いとされています。

 

 

症状@:手足の脱力感(力が入らない)

感染の1〜2週間後に発現する最も代表的な症状です。

 

ギランバレー症候群を確定診断する際の重要な根拠となります。

 

 

症状A:呼吸不全

この病気全体の1〜2割程度の人に起こる症状です。

 

息苦しい程度から、自発呼吸がほとんどできない状態まで様々ですが、重症の場合は人工呼吸器が装着されます。

 

 

症状B:手足の痺れと感覚の鈍化

末梢神経に障害が発生する病気なので、脱力感に合わせて、痺れや感覚の鈍化などの症状も起こりやすいとされています。

 

 

症状C:嚥下障害(ものが飲み込みづらくなる)&ろれつが回らなくなる

こちらも末梢神経の障害からくる運動障害の一つです。

 

末端の神経とはいえ、手足だけでなく顔面などにも影響は出やすくなります。

 

およそ3割の患者にこの症状が発現すると考えられています。

 

 

症状D:顔の筋肉が麻痺する

こちらも上記と同様、末梢神経の障害が顔面に発現した場合におこります。

 

嚥下障害や言語障害よりも発現割合は高く、およそ半数の患者にみられる症状です。

 

 

症状E:声がかすれる

これは末梢神経の障害が喉に出た場合の症状です。

 

声帯が麻痺して声がかすれたり、声そのものが出しにくくなります。

 

声帯ポリープと症状がよく似ていますので、識別が必要となります。(咽頭ファイバーなどで確認)

 

 

 

症状F:複視(ものが二重に見える)

およそ1割の患者に発現する症状です。

 

末梢神経の障害が「眼神経」に広がった場合に現れます。

 

 

症状G:排尿障害

「膀胱の筋肉の動きを制御する神経」に影響が出た場合の症状です。

 

排尿障害を起こすと尿道炎や膀胱炎などを起こしやすくなるので、状態によっては尿道カテーテルを挿入する必要性が出てきます。

 

 

症状H:筋肉痛(主に腰や太ももにかけて)

末梢神経の炎症が起こりやすいのが腰からお尻にかけてと言われています。

 

これは「立つ」、「座る」という基本動作が日常のなかで多いことと、脊椎は腰付近が最も大きくカーブしているので、神経が圧迫されやすくなるからです。

 

またギランバレー症候群では、回復期に神経再生に伴う疼痛(うづくような痛み)が起こる場合があることがわかっています。

 

ただし、強い痛みが出ることが多く、リハビリの妨げになる場合があります。

 

この病気ではリハビリを行わないと身体機能の回復や病気からの回復が遅れてしまうことがあるので、治療時の疼痛コントロールはとても重要視されています。(症状に合わせてロキソニンなどの痛み止めが処方されます)

 

 

 

このように、軽度の人は手足に力が入らなくなるという程度のものから、全身の筋肉を動かすことができずに寝たきりになる人までおり、中には自発呼吸ができなくなるような重症度の高い症例も確認されています。

 

それゆえに、この病気には重症度に合わせた以下のグレードが設定されており、診断や治療計画の目安に活用されています。

 

グレード0

正常

 

グレード1

軽度の神経症状(手足の脱力など)を認める

 

グレード2

歩行器、またはそれに準ずる支持なしで5mの歩行が可能な状態

 

グレード3

歩行器、あるいは支持があれば5mの歩行が可能な状態

 

グレード4

ベッドまたは車椅子での生活となる状態(支持があっても5mの歩行が不可能な状態)

 

グレード5

補助換気(人工呼吸器など)の必要性を認める

 

グレード6

死亡

 

 

では続いて
「ギランバレー症候群の原因」について説明しましょう。

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ギランバレー症候群の原因とは?

この病気の詳細な原因などは、未だに明確となっていません。

 

しかし現在、三つの原因が有力視されています。

 

また、ひとつが原因となるわけではなく、これらの原因が重なり合って発症する可能性も示唆されています。

 

原因@:ウィルスや細菌の感染

ヘルペスウィルスのように神経に寄生する病原菌は意外と多く、ギランバレー症候群もそうした神経に寄生する病原菌による感染症が原因ではないかと考えられています。

 

その最も大きな根拠が、発症する1〜2週間前に感染症とよく似た症状があらわれることです。

 

しかし、原因となる病原菌の特定には至っておらず、現在は

 

  • ガンピロバクター
  • サイトメガロ
  • EBウィルス

 

などが有力視されています。

 

 

原因A:末梢神経の炎症

この病気の症状が「末梢神経の障害」なので、発病部位では炎症を起こしていることがわかっています。

 

しかし、炎症を起こす原因が特定されていません。

 

その原因として考えられるのが

 

  • 上で説明したような病原菌による感染
  • 自己免疫性疾患(免疫システムが暴走し、自ら健康な細胞を攻撃してしまう病気)の一種であり、自ら炎症を発生している

 

などが挙げられます。

 

 

原因B:薬剤性

ごく稀なケースですが、医薬品の副作用が原因で「ギランバレー症候群とよく似た症状」を起こすことが判明しています。

 

対象となる副作用を持つ医薬品には以下のようなものが挙げられています。

 

  • インフルエンザワクチン
  • ポリオワクチン
  • 肺炎球菌ワクチン
  • インターフェロン製剤(肝炎の治療に使用)
  • ペニラシミン製剤(関節リウマチの治療に使用)
  • ニューキノロン系抗生剤
  • 抗HIV治療薬
  • 抗がん剤

 

などです。

 

薬剤性の場合は、薬を変えたり、投薬を中止すると症状は次第に落ち着いてきます。

 

しかし長期投与を受けている場合には、末梢神経に相当なダメージを受けているため、治療が長引くことになります。

 

 

 

では続いて
「ギランバレー症候群の治療」について説明します。

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ギランバレー症候群の治療とは?

ギランバレー症候群は神経性の病気なので、受診科は

 

神経内科、もしくは神経科

 

になります。

 

 

問診と検査

ギランバレー症候群では、「問診」が重要視されます。

 

これは、この病気が「感染症のような症状から少し間をおいて神経症状が現れてくる」という特徴的な経緯をたどるからです。

 

そして問診の結果、ギランバレー症候群が強く疑われる場合には以下の様な検査を行います。

 

 

神経学的検査

問診から

 

  • 「意識状態」
  • 「言語」
  • 「脳神経」
  • 「末梢神経系」
  • 「感覚系」
  • 「病歴」

 

などを探り、さらに触診によって刺激による反応などをチェックします。

 

 

骨髄穿刺(腰椎穿刺)

腰椎の椎骨の間から針を刺して、髄液を採取してその中身を検査します。

 

所要時間は20分程度であり、麻酔をして行いますので、それほど痛みは感じません。

 

しかし、検査後2〜3時間は安静にしておかなければなりません。

 

検査前は絶食となり、飲食が可能なのは安静後からで、少し水を飲んでみて吐き気等がなければ飲食が可能となります。

 

また入浴やシャワーは翌日から可能です。

 

 

採血

ギランバレー症候群にかかると、血液中に「抗糖脂質抗体」が検出されるという特徴があります。

 

また、末梢神経が炎症をおこしていることが多いため、炎症像(CRP)や白血球数、血沈などの一般的な血液検査と、生化学的検査も同時に調べて全身状態を把握します。

 

 

筋電図

手足の脱力感が最も特徴的な症状ですので、筋電図で筋肉の状態を調べます。

 

この検査は30分から120分ほどかかります。

 

もし、異常点が見つかるとさらに詳しい検査に移行します。

 

 

末梢神経伝導検査

専用の機械で皮膚の上から電気を流し、筋肉が刺激に対してどのぐらい反応するかを調べる検査です。

 

所要時間は60分ほどですが、全身を調べる場合はもう少し時間がかかります。

 

この検査でギランバレー症候群の重症度を把握することができます。

 

 

 

ここまでが「検査」についてです。

 

続いては「治療」について説明します。

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ギランバレー症候群の治療

検査の結果「ギランバレー症候群ですね・・・」と確定診断されれば、以下の様な治療が行われます。

 

 

免疫グロブリン製剤大量静注治療

人の血液から精製した「免疫グロブリン」という免疫反応を制御する成分を大量に点滴で注射します。

 

一回の点滴は4〜6時間ほどかかります。

 

これにステロイド製剤を組み合わせると回復が早いという臨床データが報告されているので、

 

「免疫グロブリン製剤(IVIG)+ステロイド製剤(プリンペラン)」

 

がスタンダードな治療法になります。

 

 

血漿交換療法(けっしょうこうかんりょうほう)

人の血液の中にある「血漿成分」に病気の原因因子が含まれていることがわかってきています。

 

しかし、まだ具体的にどの成分かは特定できていないので、血漿成分を分離して「アルブミン」という成分と入れ替えることで、症状の改善を図る治療法です。

 

この治療法の治療効果は高いとされており、比較的軽度の人は一日置きに2回、中等度から重症例では一日置きに4回、この治療法が行われます。

 

継続的な治療となるため、静脈内に「シャント」と呼ばれる血漿交換装置との接続口を増設します。

 

そのため、副作用として

 

  • 血圧低下
  • 感染症へのリスク
  • 静脈血栓症

 

などが懸念されます。

 

また、以下の方は適用外となります。

 

  • 高齢者
  • 体重が40kg以下の人
  • 心臓や自律神経に異常がある人
  • 小児(15歳以下)
  • 全身感染症がある人

 

 

リハビリ

低下した運動機能を回復するための「運動療法」が中心となります。

 

歩行訓練や指先の機能回復などが多いとされています。

 

 

 

では最後に
「ギランバレー症候群の予後(再発や後遺症)」について説明しましょう。

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ギランバレー症候群の予後(再発や後遺症)

予後というのは、今後の病状についての医学的な「見通し」のことを言います。

 

ギランバレー症候群では発症後4週間以内に症状のピークを迎えることが多いため、この時期までにしっかりとした治療を受けておけば、徐々に回復していきます。(治療開始の目安は発症後2週間以内であれば、予後は良好と言われています。)

 

何らかの後遺症が残る人は2割ほどいるとされていますが、予後は概ね良好で、1年後ぐらいには寛解する例が多い病気です。

 

※寛解・・・治療が必要ない程度もしくは経過観察のみにまで回復すること

 

 

後遺症について

過去の調査結果や研究報告においては、「独歩不能」の例があります。

 

しかし、年々改善される傾向もみられるため、リハビリの運動プログラムによって改善が期待できます。

 

なお、大人よりも子どもの方が予後は良いとされていますが、これも個々があります。

 

 

再発について

ほとんどの場合において再発することはないとされていますが、2〜5%の割合にて再発が認められたという報告があります。

 

 

さいごに

いかがでしたでしょうか?

 

日本では年間10万人に1〜2人の割合でこの病気を発症していると報告されています。

 

年齢的には40歳前後、男女比では男性がわずかに多い程度なので、ギランバレー症候群は誰でもかかる可能性のある病気と言えるでしょう。

 

上で挙げたような症状があらわれた場合、なるべく早めに神経内科(もしくは神経科)を受診しましょう。

 

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