大腸憩室炎とは?症状・原因・治療・手術・食事制限!再発する?
このページでは、
- 大腸憩室炎とは?<症状>
- 原因
- 治療
- 手術内容
- 良い食事と悪い食事
- 再発はするの?
という点をわかりやすく説明します。
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大腸憩室炎とは?<症状>
「憩室」とは主に大腸に出来る病変で、腸の壁に出来る窪みのことを言います。
そこが何らかの原因で炎症を起こすと
大腸憩室炎
もしくは
憩室炎
と呼ばれる病気となります。
最近は日本でも憩室炎の患者が増えているという報告があるので油断できない病気と言えるでしょう。
では早速、症状から説明しましょう。
症状は?
大腸憩室炎のおもな症状としては
- 腹痛、圧痛(お腹を押さえた時に痛みを感じること)
- 下痢
- 便秘
- 血便、下血
- 吐き気、嘔吐
- 排尿障害(膀胱に炎症が浸潤した場合)
- 発熱(重症例)
などが見られます。
さらに悪化すると
- 腹膜炎
- 腹腔炎
- イレウス(腸閉塞)
- 他臓器癒着
- 膀胱炎(特に女性は腹腔内に膀胱があるので要注意です)
などの合併症を起こす危険性があります。
これらの合併症は、外側にせり出した大腸の一部が腸の他の部位や腸付近にある他の臓器あるいは腹膜などと癒着を起こすことで、強い炎症反応を示すようになるのが原因として発病します。
自覚症状としては以上のようなものがありますが、検査によって他の値に異常が出ていないかも検査します。
- 白血球数の増加(炎症が起こると白血球の数が増えます)
- CRP値(炎症反応)の上昇
- 赤血球数異常(病態により大腸に接続している血管付近で溶血や凝固が起こるため、赤血球の数に異常が生じます)
- 血沈異常(血液が試験溶液の中で沈殿する速度を測る検査です。赤血球に異常があると沈殿する速度がまちまちになります)
また、一度形成された憩室は回復することなくずっとそのままの状態になると考えられています。
かつては悪化するとポリープやがんへのリスクになりうると考えられていました。
しかし腫瘍化(しゅようか)するポリープやがんとは逆に、腸壁内部がへこんで外側にせり出していくので、現在ではその可能性については否定的な見方が多いようです。
では続いて
「大腸憩室炎の原因」について説明しましょう。
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大腸憩室炎の原因とは!?
大腸憩室炎はこまかな原因などが未だに不明の病気です。
しかし、慢性便秘が原因となるケースが多いと考えられています。
これは、便が長期間腸内にとどまることで、水分がほとんど抜けて硬くなることで、腸壁が圧迫されて憩室が形成されるという流れで起こるとされています。
他にも考えられる原因としては
1.高齢化
高齢化する中で基礎代謝が落ち、腸壁の代謝が悪くなると、何らかの原因(こちらも便秘が多いとされています)で憩室が形成されると考えられています。
2.食事の欧米化
脂肪分の多い食事は消化器に負担をかけるため、腸の働きが鈍り慢性便秘を起こしやすく、憩室ができやすくなると考えられています。
3.悪玉菌の影響
上記の原因に加え、炎症が起こる原因としてやはり慢性便秘などが原因となって腸内で悪玉菌が増え、憩室内部で異常増殖を起こし炎症を引き起こすと考えられています。
などが原因として考えられています。
ではつづいて
「大腸憩室炎の治療」について説明しましょう。
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大腸憩室炎の治療とは!?
治療法については、まず憩室と炎症の存在を確認するために
- 注腸検査:大腸にバリウムを流してレントゲンを撮る検査
- 大腸ファイバー
などの画像診断が行われます。
画像診断は、憩室炎とよく似た症状に
- ポリープ
- がん
- 虫垂炎
- 虚血性腸炎(血流障害が原因で腸に炎症が起こる病気)
- 急性腸炎(ウィルス性が最も多いと言われています)
などがあるため、これらの病気との識別のためにも非常に重要視されています。
特に注意しなければならないのはポリープやがんですが、腫瘍が腸の内側に向かって成長してくるポリープやがんとは真逆の症状なので、見た目で判断することが可能です。
ただし、発熱や急性腹症(急にお腹が痛くなること)を起こしている場合は、炎症が強いと判断されるため、これらの画像診断を行うことはできません。
その理由はバリウムや内視鏡が腸壁に与える刺激が強すぎるからです。
そのような場合には
- 腹部エコー(超音波検査)
- 腹部CT
などによって診断されます。
これらの検査によって憩室の存在以外にも
- 炎症の度合い
- 膿瘍の存在(膿が溜まって腫瘍のように膨らんでいる状態)
- フリーエアー(憩室が破れそこから腹腔内に空気が漏れて臓器を圧迫している状態)
- 癒着の存在
なども確認されます。
したがって、憩室炎における画像診断はその後の治療方針を決める上でもとても重要な検査であると言えます。
この検査の結果、憩室炎の存在が確認された場合には、重症度によって
- 「保存的治療」
- 「外科手術」
のどちらかが選ばれます。
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保存的治療とは?
憩室炎だけの場合は、よほど状態が悪くなければ「保存的治療」が治療の第一選択肢となります。
この場合の「保存的治療」とは以下の2つの治療が柱となります。
薬物治療
整腸剤と消炎鎮痛剤やステロイド、(病原菌が原因の場合は)抗菌薬などが処方されます。
下痢や出血の状態が酷い場合には脱水を予防をするために補液による点滴治療や止血剤の投与も行われます。
絶食
腸管の働きを沈静化させるための安静が目的です。
外科手術とは?
外科手術は、
- 合併症を起こしている場合
- 炎症が広範囲に及ぶ場合
に行われます。
この時行われる手術は症状によりけりですが、一般的に以下のような内容です。
腸管ドレナージ
腸にたまった膿や腹水を排出するために、ドレーンチューブを設置します。
イレウス手術
イレウス(腸閉塞)を合併している場合に行われます。
腸管切除
炎症が広範囲または憩室や膿瘍が多発的に発生している場合に、腸の一部を切除します。
人工肛門の造設術
膿瘍がひどく排便が困難になっている場合に行われます。
腹腔鏡手術
内視鏡による手術です。
他の開腹手術に比べると侵襲(麻酔や広範囲切開によるダメージ)は少ないですが、実施できる医療機関はまだ少ない最新の手術法です。
腹腔鏡手術は「保存的治療では効果の出ない中程度の病状」に対しては有効ですが、重症例に対しては従来の開腹手術が行われます。
*入院期間や費用などは行われる手術や治療内容によって異なるので、医療期間に直接問い合わせるようにしてください。
以上が大腸憩室炎の治療と手術についてです。
続いては、
「大腸憩室炎と食事」について説明しましょう。
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大腸憩室炎の時は食事に気をつけよう!
憩室の主な原因は上記の通り
- 慢性便秘
- 高齢化
- 食の欧米化(高カロリー、高脂肪食)
にあると言えます。
そのため、これらに注意した食事を心がける必要性があります。
大腸憩室炎のような「腸の疾患」時に必要な食事のポイントは
- 消化が良い
- 低残渣(お腹に残るものが少ない)
となる食事内容です。
おもに慢性便秘が原因となりますが、憩室炎を起こしてから食物繊維を大量に取るのは高残渣(食物繊維は消化されないため)となるのでNGです。
この場合は善玉菌の働きで腸内環境を整えるために
- ヨーグルト
- 発酵食品(ただし低残渣のもの)
などを積極的に食べるようにしましょう。
また、刺激の強い食事や塩分の高すぎる食事、雑穀米や玄米、キノコ類(食物繊維が多いため)もNGです。
ということで、低残渣食で気をつけるべき点をまとめると、
- 脂肪分を極力避ける(白身魚、ささみなどが良いとされています)
- 味付けは淡白にする
- 歯ごたえのあるものは柔らかく煮る
- 刺激物は避ける(調味料やスパイスは最小限にする)
- 生野菜は避けて温野菜にする、もしくは潰してスープにしたりペーストにして食べるなどの工夫をする
- 揚げ物はNG
- よく噛んでゆっくり時間をかけて食べる
- 一回の食事量を減らし回数を多くする
- 善玉菌の多いメニューを取り入れる
- 糖質は減らすか腸で消化されないオリゴ糖などを適量にする(摂りすぎは下痢の原因となります)
- 禁煙(ニコチンやタールの害によって血流障害を起こし腸の働きを鈍らせます)
- 禁酒(二日酔いの症状に吐き気、嘔吐、下痢、腹痛などがあることからもわかるようにアルコールは消化器にとって良いことはありません)
などが挙げられます。
では最後に
「憩室炎の再発はあるの?」というテーマを説明しましょう。
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大腸憩室炎は再発するの?
憩室炎の再発リスクは非常に高いとされています。
他の部位にも出来やすいですし、手術して憩室ができた部位そのものを切除しないかぎり、一度できた憩室は元どおりにはならないからです。
したがって一度憩室炎を発症した場合には上記のように低残渣、低カロリーな食事内容には特に気をつける必要がありますが、それ以外にも
- 適度な運動習慣を身につける(便秘予防になります)
- ストレスケアを心がける(胃や腸の機能はストレスの影響を受けやすいからです)
- 睡眠はたっぷりと取る(睡眠不足は自律神経の働きを乱し、便秘や下痢をおこしやすくなります)
などの生活習慣の見直しを心がけましょう。
これらを実践することでエイジングケアにもなり、憩室炎の原因である老化防止にもつながります。
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