ピロリ菌の除菌(除去)と除菌薬、費用、副作用を分かりやすく!
このページでは
- ピロリ菌の「除菌」とは?
- 除菌治療の流れ!
- 除菌治療の対象となる病気は?
- 除菌で使われる薬をもう少し分かりやすく!
- 除菌治療の際に注意すること
- 除菌治療にも副作用がある!
- 除菌の費用はどれくらい掛かるの?
をわかりやすく説明しています。
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ピロリ菌の「除菌」ってなに?
ピロリ菌除去は、文字通り
胃の中に棲みついたピロリ菌を除菌すること
です。
ピロリ菌は、50代以上の日本人の半数以上が感染していると言われている感染症です。
胃から十二指腸粘膜にかけて生息し、悪化させた場合は
- 慢性胃炎(萎縮性胃炎など含む)
- 胃十二指腸潰瘍
- 胃がん(慢性胃炎などから)
などを引き起こす原因となります。
一般的に、ピロリ菌感染によってもっとも見られるのが「慢性胃炎」ですので、代表的な症状としては
- 胃痛
- 腹部膨満感
- 食欲不振
などが挙げられます。※
※ピロリ菌に感染しても、慢性胃炎が起きず何も症状が出ない場合もあります
そのため、これらの症状があらわれ「ん?何か胃の調子が悪いな・・・」と思い調べてみると、ピロリ菌が発見されるというケースが多いでしょう。
参考ページ!
>>ピロリ菌検査の種類と検査費用!呼気検査・血液検査・検査キットの違いを分かりやすく!
検査の結果、ピロリ菌の存在が確認されると「除菌」治療が行われます。
では具体的に「除菌治療では何をするのか?」と言うと、薬を飲むだけです。
除菌治療の内容!
除菌治療の流れを簡単に説明しましょう。
1.除菌治療を受ける!
「除菌」治療では
- 胃酸を抑える「プロトンポンプ阻害剤(PPI)」
- ピロリ菌やその他の病原菌を殺す二種類の「抗生物質」
が処方され、これを朝夕二回7日間服用するという方法で行われます。
※薬については、後ほどもう少し詳しく説明しています
これでだいたい70〜80%の割合で除菌可能とされており、かなり治療効果の高い方法だといえるでしょう。
2.もともとの病気の治療
7日間の除菌治療が終わると、このタイミングで胃潰瘍や慢性胃炎など「ピロリ菌によって引き起こされていたであろう病気」の治療を行います。
※除菌前に行う場合もあります
3.ピロリ菌を再度検査する
「除菌薬の服用」が終了してから4週間以上あけて再度ピロリ菌の検査を行い、「ピロリ菌がいない」となれば成功です。
ただし上でも説明のとおり、
- 薬の飲み忘れ
- 飲み間違い
などでピロリ菌が抗生物質に対し「耐性」を持ってしまうと、除菌に失敗することになります。(2〜3割ほどの人は失敗する可能性があります)
また、除菌中の「アルコール・たばこ」なども失敗の原因となります。
参考ページ!
>>ピロリ菌除菌で「アルコール・タバコ・コーヒー」はNG!摂るべき8つの食事!
もし、最初の投薬(一次除菌)で除菌しきれなかった場合(失敗した場合)は、薬を変えて二次除菌が行われます。
二次除菌までは原則「保険適応」にて治療を受けられますが、3次除菌からは保険適応外となります。
参考ページ!
>>ピロリ菌除菌の失敗と、「二次除菌・三次除菌」の費用や薬について
※保険適応による除菌費用は後ほど説明しています
なお、ここまで「ピロリ菌が発見されると原則は除菌治療をする」と説明していますが、全ての人が保険適応で受けられるわけではありません。
そのため、
続いては「除菌治療の対象となる人」を説明しましょう。
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除菌治療の対象となる人
上記のとおり、ピロリ菌に感染すると「慢性胃炎」として症状が表れることが多いです。
しかし2012年までは「慢性胃炎」に対するピロリ菌除菌は保険適応外でした。
ただ現在は「慢性胃炎」に対しても除菌治療の保険が適用されるようになったので、ピロリ菌が存在していることが確認されるとこの治療法が第一選択肢となります。
それ以外にもピロリ菌が由来となる以下の疾患に対しては、保険適応にて除菌治療が行われることになります。
- 胃潰瘍(胃十二指腸潰瘍)
- 胃MALTリンパ腫(胃マルトリンパ腫)
- 特発性血小板減少性紫斑病
- ピロリ菌由来の早期胃がん
ただし現在ほかの病気(生活習慣病など)で投薬治療中の場合は、主治医とよく相談した上で除菌治療を受けるようにしてください。
場合によっては
- 現在治療中の薬を中止する
- 治療中の病気の治癒を待ってから除菌する
という方法がとられる場合もあります。
では続いて
「除菌で使われる除菌薬」について、もう少し詳しく説明します。
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ピロリ菌の除菌薬について!
ピロリ菌の除菌では、
- 胃酸を抑える「プロトンポンプ阻害剤(PPI)」
- ピロリ菌やその他の病原菌を殺す二種類の「抗生物質」
これらの薬を飲むだけであると説明しましたが、使われる薬についてもう少し分かりやすく説明します。
PPI(プロトンポンプ阻害剤)ってなに?
こちらは胃酸を抑えるための薬で、「制酸剤」と呼ばれるものです。
現存する制酸剤のなかでは最も強力なタイプであり、除菌治療では必ず処方されます。
胃炎が続くと胃酸が減る傾向にありますが、それでもPPIは処方されます。
なぜなら「次に説明する “抗生物質” の効きを良くするため」です。
一般的な抗生物質での治療は、注射にしても内服薬にしても「血流に乗せて身体の中の菌を殺す」というのが基本です。
しかし中にはごく特殊な治療法として、患部に直接「抗生物質」を作用させるという治療法もあります。
ピロリ菌の除菌もこの特殊な治療法であり、胃の中のピロリ菌に直接抗生物質を作用させる必要があります。
そのため「抗生物質の作用を減衰してしまう胃酸」の分泌を極端に制限する目的で、PPIが処方されます。
PPIにはこんな種類がある!
- ボノプラザン
- エソメプラゾール
- ランソプラゾール
- オメプラゾール
- ラベプラゾールナトリウム
抗生物質の種類!
除菌治療では、PPIとともに以下の2種類の抗生物質が処方されます。
- 抗菌スペクトルが広い抗生物質(いろいろな菌に効くタイプ)
⇒アモキシシリン
- ピロリ菌を殺す抗生物質
⇒クラリスロマイシン
除菌治療薬の組み合わせとして最も効果が高いとされているのが
- ランソプラゾール(PPI)
- アモキシリン(抗生物質)
- クラリスロマイシン(抗生物質)
という組み合わせで、85%以上の除菌率が報告されています。したがって、この組み合わせが選ばれるケースが多いようです。※
※最近では耐性菌が増加しており、成功率は徐々に下がっています。
しかし2015年以降、即効性が高く、効果が長期間続くとされる「ボノプラゾン(PPI)」が発売されたことから、こちらを優先的に選択する病院があります。(成功率が高まるとされています)
ただし除菌治療の成功の是非は、体質と薬の相性によるものです。
1回目の除菌で成功しなかった場合や耐性菌ができた場合には、違う種類の薬の組み合わせで二次除菌が行われます。
参考ページ!
>>ピロリ菌除菌の失敗は厄介!「二次除菌・三次除菌」の費用や薬について
では失敗をしないために、
どういったことに注意するべきなのでしょうか?
除菌治療において注意すべきポイント!
除菌治療が成功したかどうかは
除菌の投薬が終了した後、4週間以上経ってから再び受けるピロリ菌関連検査を受けた結果
によって分かります。
関連ページ!
>>ピロリ菌検査の種類と検査費用!呼気検査・血液検査・検査キットの違いなどを分かりやすく!
またピロリ菌に対する「抗体」ができているかどうかについては、投薬終了後6ヶ月経ってから再び「抗体検査」を受けることになりますので、ピロリ菌の治療には長期の治療期間を要するということを覚えておきましょう。
さらに、上でも説明のとおり
- 自己判断で薬のを飲むのを中止する
- 飲み忘れる
といった場合にはピロリ菌が抗生物質に耐性を持ってしまうため、治療の際は指示された通りに確実に薬を飲みきるようにしてください。
確実に除菌治療を成功させるためには、次のような工夫をすると良いでしょう。
- カレンダーや日記を利用して、薬を飲んだら必ずチェックすることを心がけましょう
- 記録用のカレンダーや日記、薬は目のつきやすいところに置いておきましょう
- 高齢の患者さんの場合はご家族が協力して確実に薬を飲ませるようにしましょう
また、ピロリ菌の除菌中・除菌後はしばらくアルコールやタバコ、コーヒーを控えるようにして下さい。
関連ページ!
>>ピロリ菌除菌で「アルコール・タバコ・コーヒー」はNG!摂るべき8つの食事!
そのほか、そもそものお話になりますが、ピロリ菌はキスでもうつる可能性がありますので、乳幼児との接し方には注意が必要です。
関連ページ!
>>ピロリ菌がうつる原因(感染経路)と再発の理由!キスや井戸水に要注意
ピロリ菌除菌による副作用!
除菌治療では、
- 抗生物質
- PPI(プロトンポンプ阻害剤)
を用いるため、副作用が出る場合があります。
主な副作用については次の通りです。
- 発熱
- 腹痛を伴う下痢(または軟便)
- 味覚異常(食べ物の味に違和感を感じたり、苦味や金属のような味を感じる)
- 発赤
- 湿疹
- 肝臓機能の検査値の変動
服薬中の上記のような症状を起こした場合は、主治医に相談するようにしてください。
ただし服薬期間が1週間なので、軽めの副作用の場合は除菌治療が継続されるケースが多いようです。
特に軟便や味覚異常の場合は自己判断で中止したりせずに継続するように指示されますので、従うようにしてください。
服薬を中止するケースとして考えられるのは、「発熱」「下痢」「発疹やかゆみ」などのショック状態と見受けられる症状の場合です。
ただし、このケースでも自己判断ではなく必ず医師に相談するようにしてください。
除菌後に「逆流性食道炎」が起こることも!
ごくまれにですが、治療後に「逆流性食道炎」を起こすケースが報告されています。
逆流性食道炎とは「胃酸が食道側に逆流し、食道粘膜に炎症を起こす病気」です。
その結果
- 胸焼け
- 呑酸
- 胃のむかつき
などを引き起こします。
この場合にも胃酸を制御する薬が投与されますが、PPI以外の制酸剤では効果がない場合には、症状が落ち着くまでPPIが継続投与される場合も有ります。
なお、なぜ逆流性食道炎が引き起こされるのか?という理由については、「ピロリ菌がうつる原因(感染経路)と再発の理由!キスや井戸水に要注意」でまとめています。
では最後に、
除菌費用について説明しましょう。
除菌費用は保険適応でどれくらい掛かる?
ピロリ菌の除菌を保険適応で受ける場合は、おおよそ1800〜2000円(除菌薬の薬代)ほどで済むと考えられます。
ただし3次除菌以降は保険適応外になりますので、単純計算で6000円ほどになると考えられます。
なお、これはあくまでも薬代の話であり、これ以外にも検査の費用なども含まれます。
これは行う検査によっても変わってきますので、詳しくは以下を参考にしてみて下さい。
>>ピロリ菌検査の種類と検査費用!呼気検査・血液検査・検査キットの違いなど
さいごに!
ピロリ菌が胃に棲みついても、症状が発症しない方はいます。
しかし「胃がん患者のうち、8割以上の胃にピロリ菌がいる」という事からも、胃がんの根源となっていることは間違いないでしょう。
慢性胃炎の放置は胃がんの発症リスクを上げる要因となりますので、ピロリ菌の存在が判明したら、なるべく早く除菌治療を受けるようにしましょう。
以下の記事も多くの皆さまに読まれていますので、あわせてご確認下さい。
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