疥癬の症状・原因・治療薬・疥癬トンネルとは?感染経路や潜伏期間はどれくらい?<画像・写真>
このページでは、
- 疥癬(かいせん)とは?
- 疥癬の原因と感染経路
- 症状と疥癬トンネル、潜伏期間
- 疥癬の治療とは!?
- 疥癬は自然治癒するのか?
について分かりやすくまとめています。
当ページは医療に精通したライターが分かりやすさを重点に執筆し、当サイトにて確認の上、公開しております。ただし確実性は保障しかねるため、あくまでも参考程度にご覧下さい。気になる症状がある場合は、まずは病院を受診しましょう。
スポンサーリンク
疥癬(かいせん)とは?
「疥癬」というのは耳慣れない病名だと思いますが、「ダニ(ヒゼンダニ)」が寄生して発症する皮膚病です。
画像引用:https://www.scabies.jp/treatment_manualprint.shtml
「癬」の字がつくものは、「真菌・寄生虫が皮膚や粘膜に寄生して発症する病気」の意味であることが多いです。
ただし疥癬には二種類あり、一つは通常の「疥癬」であり、もう一つが「角化型疥癬」と呼ばれるものです。
この2酒類の違いは
- 疥癬
⇒少ないヒゼンダニが寄生することで発症する
- 角化型疥癬
⇒多くのヒゼンダニが寄生することで発症する
です。つまり、寄生しているダニの数によって分類されているということになります。
近年、日本でも病院や老人養護施設、高齢者施設などでの集団感染が増え、対策等が問題視されている病気でもあります。
続いては、
疥癬の原因についてです。
スポンサーリンク
疥癬の原因は?
先ほど説明したとおり、疥癬の原因は「ヒゼンダニ」が皮膚に感染することで増殖し、発症に至ります。
ヒゼンダニについては、肉眼ではほとんど見ることができません。
卵から成虫までに成長する期間はおよそ2週間ですが、乾燥に弱く皮膚から剥がれると2〜3時間で死に絶えます。
そのため、
- 新陳代謝の活発な子供
- 免疫力がしっかりしている成人
では感染しても一時的な症状がでて、それとは気付かずに自然寛解(かんかい)することが多いです。
※寛解・・・ 見かけ上、消滅した状態のこと
しかし新陳代謝も免疫力も落ちている老人の場合は、強い皮膚症状が出やすくなります。
※症状は後ほど説明します
感染経路は?
感染経路は人から人への接触感染がほとんどで、まれにペットや寝具などに寄生したヒゼンダニから感染する例も報告されています。
接触感染が主なので、
- 配偶者
- 家族
- 恋人
- 介護者
など、直接肌と肌が触れ合う機会が多い場合には十分な注意が必要です。
ただし「ヒゼンダニ」は温度変化にも弱く、人の体温以下では動きが鈍くなり、16度以下ではほとんど活動を停止してしまいます。
したがって、通常の生活のなかでは感染者の隣に座ったぐらいでは感染しません。
注意点として、繰り返しになりますが通常は感染しても一時的な皮膚症状があらわれるだけで終わるケースが多いのですが、高齢者など皮膚の免疫機能が低下しているところに集団でいると、爆発的な感染を起こすことになります。
病院や高齢者施設などで感染例が多数報告されているのもその影響です。
国立感染症研究所が実施したアンケートでは、首都圏の老人看護施設(特別老人ホームや介護老人ホーム)のおよそ60%で集団感染の経験があるという答えが返ってきたと公表されています。
続いては
「疥癬の症状」についてです。
スポンサーリンク
疥癬の症状とは?
特徴的なのは強い皮膚症状であり、具体的には
- かゆみ
- 発赤
- 腫れ
などですが、老人の場合は自覚症状が乏しくなることがあります。
そのため、施設の職員や家族が気づけずに集団感染となるケースも多いようです。
疥癬トンネルを作る!
ヒゼンダニは寄生すると「疥癬トンネル」というものを作りながら増殖していきます。
画像引用:http://www.kaigo-hiwada.com/blog/001126.html
これは角質を餌にして、皮膚内でどんどんヒゼンダニが増えている状態です。
ヒゼンダニ自体はほとんど目視することができませんが、この疥癬トンネルは目視可能なので診断の際の決め手となります。
ちなみに、寄生したヒゼンダニが
- 活動中なのかどうか
- 数はどうなのか
によって治療方針が変わってきます。
しかし、生きている状態のヒゼンダニを検出できるのは皮膚科でも60%程度とそれほど高くはなく、今後の検査精度の向上が待たれるところです。
現在のところ、感染が疑われる組織の一部を採取して、顕微鏡で目視して「疥癬トンネル内に活動しているダニが存在しているかどうか」を確認するしか決め手がないのが現状です。
角化型疥癬の場合には、あるコロニー(ダニの居住地)が死滅していてもまた時間をおいて他の部位でコロニーを形成するため、定期的に何度も検査する必要性があります。
老人に多い皮膚疾患なので、度重なる検査は患者への負担感も増し、なかなか有効な確定診断方法がないというのが今の状態です。
潜伏期間はあるの?!
通常の疥癬の場合は、感染直後は全く症状がありませんが、その後約4〜6週間で強いかゆみを覚えるようになります。
コロニーが形成されているところは穴が開いたようになり、周囲が白っぽくなって中心が赤く腫れてくる場合もあります。
一方の角化型疥癬の場合は、一気に多くのヒゼンダニに感染するため潜伏期間は4〜5日と短くなります。
ヒゼンダニは脱皮を繰り返すため、その抜け殻や排泄物もアレルギーの原因となります。
続いては、
「疥癬の治療」についてです。
スポンサーリンク
疥癬の治療とは?
疥癬の治療では、原因となっているヒゼンダニを駆除する目的で「投薬治療」が行われます。
この寄生虫は皮膚のあるところではどこでも寄生するので、塗り薬は首から下の全身にくまなく塗る必要があります。
また強いかゆみを生じることが多いため、かゆみに対してはかゆみ止め内服薬が投与されます。
投与される外用薬(塗り薬)
フェノトリン(保険適用)
神経細胞のナトリウムイオンチャンネルに作用して、患部への血流を一時阻害するための薬です。
副作用として、皮膚炎・肝機能障害などが確認されています。
イオウ(保険適用)
ヒゼンダニを直接的、間接的に殺すための薬です。
副作用として、皮脂欠乏性皮膚炎などが確認されています。
有機イオウ(保険適用)
ヒゼンダニを直接的、間接的に殺すための薬です。
副作用として、皮脂欠乏性皮膚炎などが確認されています。
安息香酸ベンジル(インフォームドコンセントを実施した上で保険適用)
ヒゼンダニへの具体的な作用については不明ですが、改善効果は確認されています。
副作用として、中枢神経障害・皮膚刺激感などが挙げられています。
クロタミトン(自由診療:保険適用外)
ヒゼンダニへの具体的な作用については不明ですが、改善効果は確認されています。
副作用として、熱感・皮膚刺激感・接触性皮膚炎などが挙げられています。
内服薬(かゆみ止め)
イベルメクチン(保険適用)
今のところ、疥癬症の強いかゆみに対して処方できる薬はこれのみとなります。
ステロイド軟膏は免疫力を低下させる恐れがあるため、この病気での投与は不適切とされています。
副作用として、そうよう感(症状が無いのに、掻きたくなる感覚)の一時的な増悪、肝機能障害、中毒性皮膚壊死症などが挙げられています。
最後に
「疥癬は自然治癒するの?」というテーマについてです。
スポンサーリンク
疥癬は自然治癒するの?
通常の疥癬症であれば、自然治癒の可能性は十分あるとされています。
しかし、異常増殖している「角化型疥癬症」の場合は、自然治癒はなかなか見込めないでしょう。
そのために、対策としては早期発見早期治療が非常に重要となってきます。
ヒゼンダニが活動していなければ上記のような投薬治療は不要なのですが、現在のところその確定診断がなかなか難しい状況です。
そのため、臨床医によって投薬治療の有無は変わってきます。
副作用が強い薬が多いため、投与には慎重を要しますが、放置していては感染拡大が懸念されるため、その判断は難しいところだと言えるでしょう。
なお、一旦「疥癬ですね。」と診断された場合(すでに治癒している場合でも)には、患者と接触があった人間は可能な限り全員検査する必要性があります。
(診察した病院のスタッフも含まれています)
そのためのコストもかかってくるため、容易な病気ではないと言えるでしょう。
最後に!
いかがでしたでしょうか?
主に高齢者に多い病気ではありますが、集団感染の危険性も高い病気です。
かゆみや、(見難いですが)疥癬トンネルなどの症状があらわれた場合、なるべく早めに皮膚科を受診するようにしましょう。
スポンサーリンク
▼少しでも多くの方に届くよう、シェアして頂けますと幸いです!
ツイート